Shibuya note

秦野市在住のデザイナー・Shibuyaのライフスタイルブログ。暮らしを彩るデザイン、ポテト、ハーブ、エッセイ、レシピなどを紹介します。

デザイナーが教える簡単な手製本の作り方

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僕は数年前からグラフィックデザイナーになったのですが、これまでかかわることの無かった装丁やブックデザインについての本を読んだりしていて本の世界に魅力を感じていました。とりあえず一度自分の手で本を作ってみたいと思ったので既にある作品のファンアートのデザインを作ることにしました。

題材は当時読んでいたサン=テグジュペリLe Petit Prince(星の王子様)』『Vol de nuit(夜間飛行)』の2作品。

Le Petit Prince』は「青空文庫」に全文があったのでそれを借りて本文のデザインをしました。

(* この記事を書くために作ったモノを改めて写真撮影をしようと探したところ、当時2冊の表紙と本の中身を作ったのですがどういうわけか星の王子様の本体と夜間飛行のカバーだけしか見当たらなかったので、カバーと中身が違います)

 

本の各部の名称

まずは本を作るにあたって必要な要素のついて学びました。これでも紹介するのはほんの1部分ですが、本を作るなら絶対に覚えておきたい名称を絞りました。

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①天……本を正位置にしたときの上部の切り口
②地……天の反対の切り口
③小口……ノドの反対側の辺
④ノド……ページの背に接する余白部分
⑤ノンブル(ページ)……ページ数を表す番号。上部に記す場合も
⑥柱……書籍名や章題などの見出し。本文の可読性を損なわないように配置する
⑦版面……ページに対して本文が占める割合を最初に決める
⑧表紙……表紙を表1、その内側を表2、裏表紙を表4、裏表紙の内側を表3と呼ぶ
⑨背……本を綴じている外側の面。本を立てて本棚に入れたとき見える面

 

製本の種類

本の綴じ方には用途によって異なる方法がいくつもありますが、大きく分類するとこのようになります。

平製本

無線綴じ……糸も針金も使わずにのりなどで接着する方法(文庫本、厚めの雑誌やカタログなど)

中綴じ……背を針金などで綴じる方法(週刊誌、小冊子など)

平綴じ……中綴じのように背を針金で止めた束を無線綴じのように背にのりをつけて綴じる方法


上製本(ハードカバー)

(糸)かがり綴じ……折丁ごとに背の部分に糸を通して接着剤で綴じる製本

 

今回手製本で作るのは小説など文庫本で一般的に行われている平製本の無線綴じです。

 

用意する道具と材料(自作無線綴じの場合)

  • A4上質紙(本文用)
  • 本文用の紙より厚い紙
  • カバー用の紙(A4サイズより大きくなるのでコンビニプリントA3サイズで代用可能)
  • でんぷんのり
  • 歯ブラシ
  • カッター
  • 糸のこぎり、ダンボールカッターなど(紙に切れ込みをいれる)
  • 木工用ボンド
  • 寒冷紗 or ティッシュペーパー
  • クリップ
  • 裁断機
  • 重し or プレス機
  • *あればホットメルト(あれば使ってよい)

 

  • プリンター
  • 本文の印刷用データ(本文を印刷してからカバーを印刷する)

 

作り方(実際の工程)

1.本文用のデータを印刷して裁断する

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本文用のデータをA4サイズでプリンターから印刷します。全て印刷し終わったら裁断作業へ移り、トンボに沿って裁断機などで裁断します。ここで失敗するとうまく製本できないので丁寧に行います。今回は実験的に楽しみたかったので小説では一般的でないゴシック体を使いました。

 

2.本文に切り込みをいれてから背にのりを塗ってプレスする

印刷した本文を揃えて天と地をクリップで留める。背に接着するほうの側面に2-3mmほどのきれこみを1cm間隔でいれる。背と切れ込みにたっぷりのりを塗って重しを載せて乾くまで待つ(*製本用のプレス機があればいいですが、普通ないのでダンベルなどで代用する)

 

3.表紙データを作成する

表紙と背の厚さを測る。表紙の大きさ×2+背の厚さの大きさで作成して印刷する。

 

4.本文と表紙を接着する

最初に背に糊をつけて接着してアイロンをかける。次に背の表裏5mm幅ほどそれぞれに糊を薄く塗ってアイロンをかけ、乾くまで再度プレスする。

 

本体のできあがり

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装丁をまとって完成

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カバーはサイズさえ守れば自由に作ってOK。ただし、本の魅力を再現することを忘れずに。今回は『Vol de nuit』のシンボルである飛行機をモチーフに"人間の尊厳と勇気"という主題を表す男性的なデザインにしました。

 

感想

今回は数年前に作ったものをさらって記事にしましたが、改めて見るとかなり簡単な方法で作っています。本当はもっと細かく工程を踏んで作るものですが、このときは「とりあえず自分の手でも作ってみたい」と思い楽しみながら半ば実験感覚の気持ちが強かったのです。

 

今度はファンアートではなくて自分で小説やエッセイを書いて装丁を作るのも面白そうです。